(円卓)「情報活用能力」について

尚美学園大学教授 小泉 力一

言うまでもなく、情報教育の目標は「情報活用能力」の育成である。情報活用能力には、「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」という3つの〝観点〟がある。これらは、それぞれ、3つ、2つ、3つの計8つの〝要素〟から構成される。

当初、情報活用能力は3つの文章で説明されていたのだが、それだけでは定着しにくいということから、前述の3つの観点名が〝略称〟として付けられた(「体系的な情報教育の実施に向けて」平成9年10月3日)。その後、20年の学習指導要領改訂の際に、3観点を説明する文章をそれぞれ読点で区切って8つの短文に分け、それらを要素と称するようになった。

3観点は名称としては分かりやすいが、8要素を含めて現在の情報活用能力の定義が時代にマッチしたものであるかについては議論の余地があると考えている。

今回の学習指導要領改訂ではこれらの見直しは行われなかったが、国際化と情報化が進んだ現在、「情報を活用する能力とは何であるか?」について再検討する必要があろう。その上で、わが国の教育課程において、今後の情報教育の展開が見直されることを望みたい。

海外に目を向けると、これまでのICT活用教育から脱却し、「情報科学」あるいは「コンピュータ・サイエンス」を基盤にした新しい教育が始まっている。そのひとつが、2014年の秋から英国で始まった「コンピューティング」(Computing)という必修教科である。次代に必要な能力の一つとして、コンピュータの機能と役割や情報のデジタル化の意味と影響を踏まえた上で、〝情報の扱い方〟を重視している点は注目すべきである。

わが国の3観点に照らせば、「情報の科学的な理解」の部分に重点が置かれていて、情報の活用と問題解決、アルゴリズムとプログラミング、モデル化とシミュレーションなど、コンピュータやネットワークを生かすための基礎的な知識と基本的な考え方を系統的に学習する。

海外の教育課程をそのまま取り入れる必要はないが、このような潮流を踏まえた上で、「情報活用における〝実践力〟とは何か?」「〝科学的な理解〟とは何か?」「〝参画する態度〟とは何か?」を、改めて見直す必要があろう。