(円卓)子供たちを育てる思い

沖縄県立総合教育センター所長 玉城哲也

 

教員になった昭和50年代の沖縄は校内暴力で荒れ、私も生徒から暴行を受けた。何が子供たちをそんな行動へ走らせたのか。

今やネットいじめの時代。スマホなどで自由に世界とつながる。最近も生徒間暴力がネットで拡散し社会問題になった。生活を便利で豊かにするはずの文明の利器が手に負えぬ代物になる。私たちは懸命に子供を育てているのに、悲しい出来事はなくならない。

先日、幼稚園初任者研修で「教員は未来の社会を創る人を育てる仕事」と話した。ある幼稚園教員は「道で会った教え子が挨拶もしない」という。中高の恩師はいつまでも教え子から慕われ、同窓会に招待される。それをうらやましく思っての愚痴だったのか。だがそれは大きな勘違い。子供を社会人として育むのに最初に取り組むのは幼児教育の専門家たち。一つひとつの教えは記憶から消え初めて血肉となり、幼子の人格を形成していく。

子供たちは、大人の影響をたいして受けずとも立派に自己形成していく。生意気にも一人で大きくなったような顔をする。私たちは一人の人格形成に一時期寄与しただけでも、大きな仕事を成し遂げている。誇りを持ち、教え子たちの活躍を陰で応援できる先生になってほしいと願う。

教職の節目に経年研修がある。私たちが「何のために先生をしているのか」を見失わぬよう、使命感を再認識する研修といえる。教養にあふれ、個性豊かで専門性を持つ、魅力的な先生との出会いの一つひとつが、子供にとってかけがえのない肥やしになる。

音楽出身の私の使命を考え本センターの校歌を作ることにした。音楽には心を励まし、慰め、勇気を与え、精神的に人を強く支える力がある。人と人を結び付ける力もある。センター設立の思いは、子供たちの心を動かせる教師を育てる、にある。センターの存在理由を再認識し、私たちの原点である子供たちへの思い、ここに集う所員や研修員たちと声を合わせ、心を一つにできればと考えた。

どんな時代でも、平和な社会を希求し心豊かな子供たちを育てたい気持ちに変わりはない。激変を続ける社会の荒波に飲み込まれない「たくましく生きる力」を育み、「人に迷惑をかけない」「親孝行できる」「社会に貢献できる」「話がわかる」など、当たり前の人間に育てていきたいと思っている。