「教職調整額」の引き上げ 教員の長時間労働の改善も

働き方改革で置き去りの「教員の長時間労働」、残業代ゼロを明記した「給特法」が課題――。ネット上(弁護士ドットコム)で、こんな見出しの記事が掲載されていた。公立学校の教員については、その職種の特殊性から残業代の代わりに、基本給の4%に相当する「教職調整額」が支給されている。

記事によると、教員がどれほど働いても残業代が出ないのは、教員の給与を定めた「給特法」(昭和47年施行)に、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」との規定があるからで、その根拠とされた「4%支給」は、国が昭和41年に実施した教員の残業時間調査の結果を参考にしたものだ。当時の残業時間の平均は月8時間程度で、50年後の今、教員の残業は10倍に増えており、実態にそぐわなくなっている。

教員の残業時間を時給換算すると、非常に少額との調査結果が出ている。総務省の地方公務員給与実態調査(平成28年)によると、小・中学校教員の平均月給は約36万円(基本給、平均43・1歳)、教職調整額(4%)は約1万4千円だから、時間外労働が月80時間とすると、残業1時間当たりで200円にも満たない。

これに対し、教員の勤務時間の実態はどうか。文科省が今年4月、公立小・中学校の教員を対象とした28年度の勤務実態調査の結果を公表しているが、18年度の前回調査と比べ、小・中学校の教員とも勤務時間が増加し、週60時間以上だった教諭は小学校で33・5%、中学校では57・7%に上った。公立学校教員の勤務時間は週38時間45分と規定されているが、これらの教員は週20時間以上の時間外労働が常態化し、おおむね月80時間超が目安の「過労死ライン」を上回っている。

このような実態を踏まえ、この記事では、「事実上、授業準備や部活動などでの残業をさせ放題にしている『給特法』を改める必要がある。ただ、職務と勤務態様の特殊性は堅持する必要がある」との現場教員の率直な意見を紹介している。

一方、他の教員からは、「時間外勤務手当というものは、勤務時間を超過して行われる勤務に対して支給されるものであり、それは時間単位で把握されるものである。それに対して支給される『教職調整額』は、時間に関係なく教員の勤務態様の特殊性に基づいて支給されるもの。だから勤務時間外に行われている『特殊性』のない職務については、すべて、時間外勤務手当なしで行われている無賃労働と言える」「教員の日常的な時間外勤務の存在をはっきりと認め、それに対する時間外勤務手当の支給が必要だ。『特殊性』のない職務(=勤務時間を管理することができる職務)については、教員も公務員も民間も同条件にすべきだと思う」との意見が紹介されていた。

この両方の意見は、いずれも現場の実態を踏まえた一理あるものとして評価したいが、あくまでも「教職調整額」の基本方針は堅持すべきである。その本来の趣旨は、「教員の職務は自発性・創造性に期待する面が大きく、夏休みのように長期の学校休業期間があることなどを考慮すると、その勤務のすべてにわたって、一般の公務員と同様に、勤務時間の長短によって機械的に評価することは必ずしも適当ではなく、とりわけ時間外勤務手当制度は、教員にはなじまない」というものである。

その上で、今後の課題としては、「教職調整額」4%の引き上げを実現させ、教員の士気の向上に寄与することではないか。