株式会社立通信高校を改善 生徒に情熱と挑戦心を育んで

「入試なし、留年なし、週1日、3年で無理なく卒業」などのキャッチフレーズで生徒集めをしている通信制高校。その多くは、学力不振やいじめ、先生になじめないなどで不登校になった生徒の教育機関としての役割を担っている。一方で、株式会社立の通信制の中には、学習指導要領を大きく逸脱した教育をしたなどを理由に、閉鎖に追い込まれた学校がある。

こうした事態を重視した文科省は昨年7月、「広域通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議」を設置、4月11日に開かれた第5回会合で、「株式会社立学校を巡る最近の状況」について協議。閉鎖に追い込まれたウィッツ青山学園高校(三重県伊賀市)と師友塾高校(広島県尾道市)の2例が取り上げられた。

このうち、ウィッツ青山学園高校では、全国40カ所以上の民間施設と提携し、広域通信制課程のほぼすべての教育活動を実施したが、当該教育活動が学習指導要領から著しく逸脱していた実態が判明した。

この対応の経緯は、昨年3月から所轄庁である伊賀市を通じて、高校の学習指導要領に基づき、改めて生徒に面接指導を実施することや違法状態の是正を指導した(生徒に対する回復措置)。

また8月には、内閣総理大臣と文科大臣の連名で、同市に対し、構造改革特区法に基づく措置要求(面接指導等は特区内で行われるようにすることなど)、翌9月には、措置要求への対応について同市から報告(運営主体の変更)があり、12月には、同市で、新たな運営主体として学校法人神村学園を選定、平成27年度卒業生に対する回復措置の完了となった。
この結果、同校は今年3月31日、在校生に対する回復措置の完了により閉鎖され、上村学園高等部(鹿児島県いちき串木野市)の通信制課程伊賀分校として開校(収容定員240人)、4月3日現在、192人の生徒が在籍している。

ウィッツ青山学園高校はなぜ閉鎖に追い込まれたのか。学習指導要領の著しい逸脱が取り沙汰されているが、それ以前に〝でたらめな授業〟が横行していたというのである。
一部報道によると、同校の通信制の生徒は、全国にある学習支援施設に通学。年2回程度、伊賀市の本校で教員から直接指導を受ける必要があるが、実際にはテーマパークでの買い物のつり銭計算で数学を、伊賀市の伊賀流忍者博物館の見学や手裏剣投げ体験で社会や体育を履修したなどとする事例があった。

このような状況下では、生徒の教育を受ける権利を著しく阻害することになる。政府は、株式会社立学校制度の運用改善に早急に着手すべきだ。その課題として、「ウィッツ青山学園高校における違法・不適切な事案等を踏まえ、(1)認定地方公共団体の指導監督体制の脆弱(2)学校設置会社の役員等に係る要件適合性の把握が不十分――などの課題に対応するため構造改革特別区域基本方針を改正し、運用の改善を図ることが必要」としている。政府は、自らの反省を踏まえて、この課題解決の実行に率先して取り組んでもらいたい。

この日の会議に出席した文科省の義家弘介副大臣は、「今回の事例は、高校の信頼が揺らぐ結果を招いたが、これを機会に、生徒に情熱と挑戦する力を育むような教育を展開してほしい」と述べていた。支持したい。その手本として、実績のあるNHK学園高校(普通科、広域通信制・単位制)が、大変参考になる。