被害児童を出さない ネット世界の負の局面で

寸暇を惜しんでスマートフォンを操作する人たちの姿が、どこでも当たり前となった。時は、インターネット万能時代。急激に普及したスマホ、タブレット端末などが生活を大きく変え、いつもインターネットに触れていないと不安を感じる「ネット依存(症)」の時代ともなった。
ネット依存者の増加は、統計的にも軽視できなくなった。厚労省による平成25年の研究調査によると、ネット依存の傾向にある大人は、推計で、男女合わせて約421万人とされる。その前年に中高生を対象とした同省の調査では、ネット依存を強く疑われるのは、推計約52万人に達する。

総務省が26年に発表した、東京都立高校154校の生徒約1万5千人を対象にした調査では、ネット利用が1日平均6時間を超すネット依存傾向の高い高校生が4.6%に上る。雨後の竹の子のように増殖しているブログ、Facebook、Twitter、Lineなどのソーシャルメディア。それに、あちらこちらで見られるスマホ組。ネット依存にのめり込む予備軍は、今や数えきれない。

注意が必要なのは、ネット依存が子供を犯罪の被害者にしかねないことだ。警察庁によると、趣味や興味などの同好者の集まるウェブサイト「コミュニティサイト」が原因の事犯で、児童が被害者になるケースは、20年以降、増加傾向にあり、昨年上半期には889人に及び、過去最多となった。

被害の多い罪種は、青少年保護育成条例違反348人、39.1%や児童ポルノ268人、30.1%だ。サイト種別は「チャット系」が最も多く、次いで「複数交流系」、「ID、QRコード交換系」である。

被害児童が被疑者と遭った理由には「金品」や「性的関係」を目的とする援助交際に関連する理由が4割強も占める。

しかし、学校でインターネット利用などに関連する指導を受けたと認識している被害児童は、3割強しかいない。学校では行っていても、その認識がない。
ウェブページなどを一定の基準で評価判別し、選択的に排除する「フィルタリング」機能がある。だが、87.7%の児童がフィルタリング機能を利用していなかった。

子供を中心に人気の高い「ネトゲ」(ネットゲーム)。インターネットを介して仲間と対戦ゲームを楽しむ。だが、ゲームだけではないのを、親の世代が結構知らない。ゲーム機からインターネットを通していろいろなウェブサイトの情報を検索し、ネット販売の商品購入にも広がる。誰とでも手軽にやり取りして友達になれるSNSへと移行し、電話より割安だから、一晩中でも交信する。こうして、依存状態を高めていく青少年が、後から後から生まれる。

大人の依存症には、アルコール、薬物、ギャンブルがあるが、本人は依存症とは気づかない。ネット依存症も、本人の自覚はない。子供の依存状態は、親が医師と相談してはじめて気付くケースが多い。本人の自覚がなければ、治療は難しい。それが依存症でもある。文科省と学校は、ICT機器や教材の普及と活用だけでなく、ネット依存や犯罪の子供への影響など、ネットで増えている「負の局面」にもっと目を向け、厚労省、警察庁、総務省と連携して、子供たちを守っていく具体的な対策を、より強化していく必要がある。

子供たちの溌剌とした声が学校から聞こえる新学期が始まる。その姿がネット世界に吸い込まれてしまわないよう、踏んばりたいものだ。