指導計画の在り方 先行的な検討を期待する

新学習指導要領が告示された。平成29年度は改訂趣旨の周知が進められる。関係図書の出版が相次ぐと予想される。

大きな変更は、教科等の枠組みや授業時数について、小学校外国語科を除いてない。ただ、総則の構成が大幅に見直されると同時に、各教科の目標と内容に資質・能力の柱が貫かれることとなった。目標には各教科等の特質を表す「見方・考え方」を「働かす」ことを明記し、資質・能力を3つに分けて示している。内容についても、知識・技能と思考力・判断力・表現力等に区分して示す方法をとっている。これらの教科等の目標・内容の見直しと同時に、「言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力」を育成することが総則に明記された。カリキュラム・マネジメントを通じて、組織的計画的に教育活動の質の向上を図ることが明確にされたのは、周知の通りである。

以上挙げたような改訂事項を、各学校の教育課程編成に具現化していくためには、何をどのように準備していけばよいであろうか。各学校の教育課程は、学校教育目標を教育活動に具体化していく形で編成される。この学校の教育活動は、各教科等の授業として実施されるのを踏まえると、結果として、各教科等の教育指導の計画と実施の在り方が問われることになる。具体的には、改訂の趣旨を各教科等の指導計画にどう反映し、実施していくかである。

従前の学習指導要領では、各指導事項を授業で展開する際に、知識・理解や技能、思考力・判断力・表現力等を合わせて育てる形になっていた。この事項は知識・技能、次の事項は思考力・判断力といったように区分して構成するのではなく、教師の授業運営を通じて知識・技能や思考力・判断力・表現力を育成する形となっていた。

改訂学習指導要領は、内容を知識・技能と思考力・判断力・表現力等に区分しており、この点を指導計画にどのように具体化するかが課題となる。1年間のある部分を知識・技能に、その他の部分を思考力・判断力・表現力にといった年間指導計画を作成するのは不可能である。1年間を通じた指導の中で、資質・能力をバランスよく育てるには、資質・能力別に示されている内容の区分を再構成しながら学習指導のプロセス中に配置する作業が必要である。

さらに、各教科等の目標に示された「見方・考え方」を「働かせる」ことをどのように捉え、指導計画に具体化するかとの課題もある。「見方・考え方」は教科等の特質を視点や方法として示したものとされるが、その中身は示されていない。今後、学習指導要領の解説で示されることも予想されるが、教科固有の視点と考え方とはどのようなものかを、これまでの実践の積み重ねの中から明確にしていく必要がある。

さらに、上述した「言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等」の学習の基盤となる諸能力育成を教科等の指導にどのように位置付けるかも、指導計画に関わる課題である。3つの資質・能力はどの教科のねらいでもあるが、何らかの位置付けや重点化がなされないと、意図的に育てることはできない。各教科等の特質に合わせてこれらの能力育成を、1年間のどの場面でどのように育てるのかを、指導計画として明確にすることが必要と考える。

カリキュラム・マネジメントを教科等横断的な視点も含めて進めるのも指導計画の在り方に関わる課題である。学習指導要領の構造的な改訂にふさわしい指導計画の様式や枠組みの先行的な検討を期待したい。