英語力を調査 小中連携で英語教育改善を

文科省は2月、中3の英語4技能に関する「平成28年度英語教育改善のための英語力調査」の速報値を発表した。調査は、政府が25年6月に閣議決定した「第2期教育振興基本計画」等の提言に基づき、26年度から毎年行われている。政府は「中学校卒業段階で英検3級以上のレベルを5割にする」との目標を掲げているが、結果は英検3級以上のレベルに達した生徒が「聞く」「書く」についてはポイントを上げ、「話す」「読む」では下げた。「書く」での無得点者は昨年度より増加し格差の広がりが目立った。「英語の学習が嫌い」とした生徒が昨年度よりも微増した。

結果を受け中学校では、英語科教員を中心に課題意識をもち、対策を考えていかなければならないが、「英語嫌い」が微増して、中学校では、ある不安が生じている。それは、23年度から小学校で始まった外国語活動に関してである。このときの小学生はすでに中学校を27年度に卒業しているが、この間、中学校では入学時から「英語嫌い」の生徒の対応に苦慮した苦い経験がある。

当時の小学校には英語科の教員免許状をもった教員はおろか、外国語活動に対する指導のノウハウなどほとんどなく、国や教委が作成した指導資料を頼りに暗中模索の状態で児童の指導に当たった。その結果、一部に「英語嫌い」の子供が発生し、中学校に入学してきた。次期学習指導要領では小学校中学年で外国語活動が、高学年では英語科としての学習が行われる。小学生が英語を学ぶ機会が今後さらに増えるわけだが、今回の改訂によって中学校が「英語嫌い」の子供の入学を不安視するのは、こうした前例があるからだ。

不安視のデータは他にもある。民間の教育研究所が27年に行った調査では、現在の小学校で行われている外国語活動に対して6割の保護者が「満足していない」と回答。その理由として「英語力の基礎」と「中学校での学習へのスムーズな移行」が十分に果たされていないことだという。

こうした状況を解決するには、小学校教員の英語指導力を向上させるのが最善策だが、英語科免許状所有の教員や外国人講師の配置など人的対応が厳しい現状から、即効性は期待できない。無論、副教材の開発や教員研修の必要はあるが、これらも試行錯誤の連続で即効性は期待できない。

そこで、一定の成果が期待できるのが近隣中学校との連携だ。これまで成果を上げている事例では、小学校教員による定期的な中1英語の授業参観とその後の研究協議、小・中教員合同による小・中学校年間指導計画づくり、中学校教員の出前授業(小学校教員とのTT)などがある。

また地区ごとに小学校英語教育研究会を設置し、既設の中学校英語教育研究会と合同研究会を開催することも考えられる。このとき、小学校側が配慮すべきは、高学年の学習内容については音声言語の指導から文字言語への指導を円滑に行うノウハウを必ず研究計画の中に入れること、運営面については小・中学校それぞれの単位時間が違うことから中学校の事情に合わせた合同研究会の時間を設定することなどがある。

中学校教員も円滑な小中接続の視点を意識しながら小学校の学習指導要領を読み込み、研究会に臨む姿勢を持つことが大切である。
冒頭の調査では、中学校教員が小中連携を必要と感じる意識はまだ十分ではない。しかし、小学校英語教育の成功は小・中学校教員共通の課題であることを、すべての教員が認識すべきであろう。