防災教育 「防災部活動」を活用しよう

東日本大震災後、7年目に入った。災害列島といわれるわが国では、さまざまな災害発生時における危険について理解し、正しい備えと適切な行動が取れるようにする防災教育は重要である。全ての子供に充実した教育を受けさせることが必要である。生きる力を育む上での前提であるといっても過言ではないだろう。

しかしながら、防災教育は、災害受難後には強く意識されるが、時が経過するに従ってその意識が薄くなっていくことが懸念されるところである。3.11に当たって、防災教育の実態や状況、課題などについていろいろな報道がされていた。報道の中で中学校の部活動に「防災部」を設けるケースが増えているということに注目したい。

活動例は、学校での防災訓練や保育園児らの避難訓練を行う、高齢者宅を尋ねて言葉を交わす、地域の防災訓練に参加する、消火ポンプやAEDの操作法を学ぶ、災害対応のスキルを実体験で学ぶ等々である。防災訓練などの地域イベントにも年10回近く参加する学校、他の部活動との兼部も可能なことから部員が全校の7割に増えた学校、より高度な知識・技能を身に付ける「スーパーレスキュー部」に発展する学校などがあり、活発な活動や創意工夫に満ちた運営などが見られる。

これらの防災活動を部活動で行うよさとして考えられるのは、第一に、各教科等で学んだ防災に関する知識・技能を防災部の活動で活用して生かせる。部活動と関係教科等を関連づける新学習指導要領の趣旨の体現にもなる。第二に、知・徳・体の教育目標を一体的に実現できる。各教科等で防災に関する知識・技能を身に付ける、道徳科において社会参画、公共の精神を育む、体育・健康教育の指導で安全・安心の知識・技能を身に付けるなどの教育成果を一体的、実践的に発揮して身に付けることが可能である。

第三に、活動が地域に広がり、地域の人々と連携・協力して行うことで、地域の一員としての自覚を高められる。身に付けた防災に関する知識・技能は地域の一員として期待され、これに応える活動として展開され、実際に歓迎されている。第四に、中高生の活動は他の子供のモデルとなり、いざというときに他の子供をリードし、安心・安全の確保にリーダーとして機能することが期待できる。第五に、幼保・小・中・高連携の活動が可能である。地域の防災活動などの際に、幼保・小・中・高の子供たちが一堂に会して協力・連携して活動する機会をつくることができる。

防災教育は新学習指導要領でも重視され、各教科等で関連する知識・技能等が取り上げられる。教育課程の編成に当たっては、これらの系統性や関連性を明確にして教科等横断的な教育課程を編成し、防災教育の全体計画や指導計画を作成して幼保・小・中・高の一貫性のある指導を積み上げるのが大切である。この教育成果と部活動との関連を図り、子供が部活動等を主体的に進められるようにするのが重要である。小学校でもクラブ活動で行えよう。

災害の実態は地域によって変わる。防災部の活動はそれぞれの地域や学校の実態に応じたものとなろう。大事なのは、学校の教育課程で学んだことをもとに、子供たちが地域の一員となって防災活動に参画し、自分や家庭・地域の安全を守る一人ひとりとなることである。これはまさに、新学習指導要領が求める資質・能力の三つの柱を具現するものであろう。新年度に「防災部」等が一層広がるのを期待したい。