秋田県の教育に秘訣 探究型授業と共同研究システム

文科省が平成19年度から実施している全国学力・学習状況調査で、常にトップクラスの成績を収めている秋田県の、小・中学校の教育。その要因は、「話し合い・対話・討論を重視する『探究型授業』」と「実質化された授業の共同研究システム」にあるとの見解が、同県教育の指導・改善のリーダー的役割を発揮してきた阿部昇秋田大学大学院教育学研究科教授(秋田県検証改善委員会委員長)から明らかにされた。

この見解は、NPO法人教育情報プロジェクトと(一社)日本家庭生活研究協会が共催で、2月24日に、関東近県の指導主事らを集めて開いた教育シンポジウム「全国学力・学習状況調査から見た秋田県の教育と9年間の分析」の中で行われた講演で示されたもの。同県の学力が全国のトップクラスにある要因として、「探究型授業」と「共同研究システム」の導入の2項目以外に、(1)熱心に授業・学習に向かう子供たち(2)授業冒頭に「めあて」「課題」を提示し、最後に「振り返り」を行う(3)家庭での学習習慣の定着(4)学校、家庭、地域のつながり・連携――の4項目を挙げた。

このうち「探究型授業」は、「導入」=学習課題の設定↓「展開」=自力思考、グループの学び合い、学級全体の学び合い↓「終末」=振り返りの手法で授業を展開する。こうした授業について調べると、「さまざまな考えを引き出したり思考を深める発問・指導をしたりした」「友達との間で話し合う活動をよくした」などで、大きくプラスに反応していた。

阿部教授は「秋田県では『探究型』授業として、事実上は『主体的・対話的で深い学び』(アクティブ・ラーニング)の授業を以前から取り入れている。それが全国学力・学習状況調査のB問題の結果の良さにつながっていると考えられる。これは、国語、算数・数学だけでなく、英語など他教科でも有効なものと再確認した」と述べている。

一方、「授業の共同研究システム」では、「全教職員がチームで取り組むこと」が重要で、特に、算数・数学でチーム・ティーチングを採用している小・中学校が目立っているという。その上で、共同研究の可能性としては、「教科を超えた共同研究(複数の教科の教師がチームを作る)」「学校を超えた共同研究(小中連携などを推進)」が実現できるかどうかだとした。

「共同研究」の重要性については、会場の指導主事らから支持する意見が多く出され、「共同研究の推進役である研究主任の重要性を感じた」「研究主任に研究会の持ち方、話し合い方、深め方などを習得してもらい、質を高めるスキルを高めさせることが大事ではないか」などの声が聞かれた。

これに対し阿部教授は「共同研究で大事なのは、教室で、廊下で、職員室で、休憩室で、常に授業の話、子供の話が交わされる職場づくりではないか」と述べ、「主体的・対話的で深い学び」を推進する上での共同研究の重要性を強調した。

印象的だったのは、阿部教授が「授業研究の日常化」を指摘し、「授業を見ること見せること、『密室からの解放』が大事だ」との発言に対し、参加者から「校内で全教員が『主体的・対話的で深い学び』を実現する授業は何なのかを共通理解すること、密室ではなく、学校全体で一人ひとりが伸びていこうとする職場の雰囲気づくりが大事」との感想が寄せられた点だ。的を射た意見で、こうした教育環境を学校全体で醸成していくのが大切ではないかと強く感じた次第だ。学校現場の努力に期待したい。