学校でのワクチン集団接種「推奨しない」 文科省が通知

中高生を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種について、文科省と厚労省は6月22日、学校での集団接種を「現時点では推奨しない」とする考え方を都道府県などの教育委員会に通知した。中高生にもかかりつけ医や自治体での個別接種を促す。集団接種を推奨しない理由には「保護者への説明の機会が乏しくなる」「接種への同調圧力を生みがち」「接種後の体調不良への対応が難しい」ことを挙げた。ただ、個別接種の態勢が確保できないなど地域の事情がある場合には、「ワクチン接種を強制しない」などの対策を条件に、自治体の判断で学校での集団接種を実施できるとした。また、生徒が医療機関などでワクチン接種を受ける場合、学校長の判断で欠席扱いとしないことも可能との判断を示した。

学校での集団接種について説明する萩生田文科相

萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で、学校での集団接種を推奨しないと判断した理由について、「学校での集団接種をやるとすれば、医療インフラもそこへ集中していかなければならない。まだ国全体でそういう時期ではないと思う。同時に、12歳というと、小学校6年生の一部が対象になる。その人たちだけ学校でワクチンを打って、6年生の残りと5年生以下は打たないとか、そういう混乱を招くようなことをあえてルール化をする必要はないと私は思っている」と説明。

ワクチン接種の進め方については「接種の優先順位としては、65歳以上の方、次は基礎疾患を持っている64歳以下の方ということで大きな方針は決まっている」とした上で、12歳以上の場合は「個別接種で、かかりつけ医により、希望するお子さんは保護者の同意のもとでやっていただく、というスタイルを進めていきたい」と述べた。

通知は、中学生以上の生徒がワクチン接種を受ける場合を想定。生徒への学校での集団接種について「実施方法によっては、保護者への説明の機会が乏しくなる、接種への個々の意向が必ずしも尊重されず同調圧力を生みがちである、接種後にみられた体調不良に対するきめ細かな対応が難しいといった制約がある」と問題点を指摘した上で、「現時点で推奨するものではありません」との判断を示した。

同時に、個別接種の体制が確保できないなど、例外的に自治体が学校での集団接種を行う必要が出てくることもありうるとして、その場合には次の留意点に適切な対策を講じるよう求めた。

留意点はまず、生徒や保護者への情報提供と同意について▽生徒や保護者に対する丁寧な情報提供や方法の工夫を行う▽16 歳未満の生徒にワクチン接種を行うときには、保護者の同意を得る▽ワクチン接種を受ける受けないによって、差別やいじめなどが起きないよう、ワクチンの接種は強制ではなく、周囲に接種を強制してはいけないことなどを生徒に指導し、保護者にも理解を求める――ことを挙げた。

次に、学校での集団接種が事実上の強制にならないように、接種のタイミングを放課後や休日、長期休業期間等に設定するなど、生徒の心理的負担を軽減する工夫を求めた。このほか、地域の医師会や医療機関と連携して、集団接種の対象になる生徒数に応じた体制を整備することや、ワクチン接種の前後に生じる不安や恐れがストレスとなる「予防接種ストレス反応」が思春期に発生しやすく、周囲の生徒にも連鎖する可能性があるとして、生徒が落ち着いた雰囲気でワクチンを接種できる環境整備を促した。

通知ではまた、生徒がワクチン接種を受けた場合の学校の出欠については「期日や場所の選択が困難であり、かつ、接種場所までの移動に長時間を要する場合」などで、学校長が認めた場合には、「指導要録上『出席停止・忌引等の日数』として記録することで欠席としないなどの柔軟な取り扱いをすることも可能」と明記。生徒が医療機関などでワクチンを接種する場合、学校長の判断で欠席扱いとしなくてもいいとする判断を示した。

12歳以上の児童生徒を対象とした学校での集団接種を巡っては、河野太郎行政改革相が6月20日に出演した日本テレビの番組で「12歳から15歳の子供たちには夏休み中に打ってもらい、2学期は心配せずに学校に行ってほしい」と発言。翌21日夜のNHKの番組で「政府として『夏休みまでに打ってください』ということではない」と釈明し、「私の舌足らずで誤解を与えてしまい、おわびを申し上げたい」と陳謝している。