教科担任制で報告 授業理解度が向上、ストレスレベルも小さく

2022年度からの本格導入を目指す小学校高学年からの教科担任制について、文科省の「義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議」は6月11日、第3回目の会合を開いた。この中で全国の先進事例の調査研究結果が報告され、教科担任制の導入で授業の質向上や教員の負担減などの効果が表れていることが示された。一方で、1学年が単学級規模の学校では教員数が限られ、複数校間で指導を行う専科教員の加配などの工夫が求められるなどと課題も指摘された。

教科担任制に関しオンラインで議論された文科省の検討会議

この調査研究は、先駆的に教科担任制に取り組んでいる全国の自治体などを対象に初めて本格的に行われた。調査にあたったコンサルタント会社の担当者は、教科担任制の実施効果について、①授業の質向上②教員負担減③多面的な児童理解④小中の円滑な接続――の4つの観点から分析。

「学力や授業理解度が向上した」「業務負担感を感じる割合が少なくなり、ストレスレベルが小さくなっている」「小学校から中学校への心理的な壁がなくなった」などと、いずれの観点からも実施効果を評価する意見が多かったとして、「定性的な評価が確認されたといえる」と報告した。

一方で、学校規模によって運営に難易度があることも指摘。教員の確保が難しい1学年が単学級規模の学校では、中学校からの乗り入れ授業を担う教員や、複数小学校間で指導を行う専科教員を加配することが望ましいとした。また、時間割の調整が難しい1学年5学級以上の規模の学校では、時間割などの調整業務を担うミドルリーダーの配置を提案した。

続いて会合では、調査研究報告も踏まえて改めて、小学校高学年における教科担任制推進の考え方と、優先的に専科指導の対象とすべき教科などについて、各委員から意見が出された。

大字弘一郎委員(全国連合小学校長会会長)は「全国の校長に行った調査では、増員があった場合は専科指導をしたいという声が7割と多かった。定数措置により教科担任制の推進を図るという考えは、非常に納得できる」と述べた。

また、貞広斎子委員(千葉大教育学部教授)は「教科担任制で重視するのが『系統的な学びの保障』なのか『働き方改革』なのか、国として推進する上で優先順位をつけるべきだと思う。加配の数は現実的に限られると思うので、戦略的に考える必要がある」と指摘した。

検討会議では、教科担任制の本格導入を目指す2022年度予算の概算要求に向けて、教職員定数の確保の在り方などについて、今夏までに議論を取りまとめる方針。