子供が感じる「居場所」など可視化し強調 子供・若者白書

内閣府は6月11日、今年の「子ども・若者の状況及び子ども・若者育成支援施策の実施状況」(子供・若者白書)を国会に報告した。児童生徒の自殺の急増など、コロナ禍で子供・若者を巡る状況が厳しさを増す中、子供たちが家庭や学校を「居場所」と感じているかどうかなどの調査データを可視化した「インデックスボード」を初めて導入し、社会に幅広く伝える工夫をした。また、家族の介護や家事を抱えながら学校に通うヤングケアラーの実態などが初めて盛り込まれた。

新しい子供・若者白書は、コロナ禍の子供・若者を巡る厳しい状況の分析に加えて、民間団体による支援策やインデックスボードによる分析などが盛り込まれ、昨年より約50ページ増えて340ページ余となった。

はじめに子供・若者を取り巻く状況について、家庭では児童虐待や貧困、ひきこもりなどが社会問題化し、学校では自殺、不登校、いじめの重大事態が過去最多となって生徒指導上の課題が深刻化しているなど、場所ごとの課題を指摘した。

こうした中、今年4月に策定された新たな「子供・若者育成支援推進大綱」では、社会全体で子供・若者を支援するため、多様なデータを分かりやすく可視化する「子供・若者インデックスボード」を作成することが示され、今回の白書に初めて導入された。

上記の場所がほっとできる「居場所」になっていると答えた割合

「インデックスボード」では、特に子供たちにとって身近な場所が「居場所(ほっとできる居心地のいい空間)」になっているかどうか、内閣府の「子供・若者の意識に関する調査」の2016年と19年の結果を基に、「家庭」「学校」「インターネット空間」など6つの場所についてグラフで示した。いずれも「居場所」になっていると答えた割合は3年前より減少し、特に「インターネット空間」は5.5ポイント減少した。また、「どこにも居場所がない」の回答が5.4%に上昇しており、20人に1人は身近にほっとできる空間がないとの結果が改めて示された。

居場所の数と「今の自分が好きだ」と答えた割合

また、子供たちが感じる居場所の数と「自己肯定感(「今の自分が好きだ」と答えた割合)」の相関関係(=図②)を分析したところ、居場所が「0」と答えた子供たちは10.3%だったのに対し、「6つある」と答えた子供たちは72.0%だった。また、居場所の数と「将来への希望(「自分の将来に明るい希望を持っている」と答えた割合」との関係(=図③)も、「0」の子供たちの18.9%に対し、「6つある」の子供たちは78.5%に上り、居場所の多さと前向きな気持ちとの相関関係が見られた。

居場所の数と「自分の将来について明るい希望を持っている」と答えた割合

白書をまとめた内閣府の御厩祐司参事官は「子供や若者にとって居場所を感じられる場所が減っており、居場所づくりの政策が非常に重要だと示唆された。居場所の数が少ない子供・若者ほど支援機関を知らない傾向もあり、行政だけでなく、それぞれの地域などに力を貸していただきたい」と話した。

さらに今回の白書では、「ヤングケアラー」の実態と支援の状況が初めて盛り込まれ、厚労省と文科省が今年3月にヤングケアラー支援のプロジェクトチームを立ち上げたことや、全国に先駆けて実態調査と支援に取り組んでいる埼玉県の事例が紹介された。ケアラー(介護を担う者)は特別な存在でなく、誰もがなりうる時代を迎えており、支援を必要とするヤングケアラーを早期発見して必要な支援につなげることが必要だと強調している。