コロナ禍で出会いの減少や将来不安 少子化社会対策白書

政府は6月11日、今年の少子化社会対策白書を閣議決定した。新型コロナウイルスの感染拡大以降、出生数や妊娠届け出数、婚姻数が減少していることから「結婚行動や妊娠活動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものと考えられる」として、中長期的な影響を注視する必要があると指摘。その上で「不安に寄り添いながら、安心して結婚、妊娠・出産、子育てができる環境整備に取り組む」としている。

厚労省が今月4日に公表した人口動態調査によると、2020年の1年間の出生数は84万832人で、前年と比べ2万4407人減少し過去最少。16年以降5年連続で減少している。20年の婚姻件数も52万5490組と戦後最少となり、近年の少子化傾向に新型コロナウイルスが拍車をかけた状況がうかがえる。

内閣府の泉聡子参事官(少子化対策担当)は「気がかりなのは婚姻件数の減少。出会いの機会の減少、将来不安が結婚をためらわせているのだとすると、少し長い目で見ていく必要がある。一例だが、大学でもオンライン授業が増え、横でのつながり、出会いの機会が減っている。このことが今後、結婚や家族形成にどういう影響を与えるか、見ていかなければならない」と述べた。

こうした状況を踏まえ、政府の少子化対策の取り組みとして▽結婚に伴う新生活を支援する結婚新生活支援事業での年齢・年収要件の緩和▽電話やオンラインによる相談支援・保健指導等の実施など、妊産婦に寄り添った支援▽集団健康診査の受診を控える傾向にある乳幼児健康診査について、個別健康診査への切り替えに対する支援――などを挙げた。

また昨年5月に策定した少子化社会対策大綱を踏まえ、若い世代が将来に展望を持てる雇用環境等の整備、結婚を希望する者への支援のほか、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備、多様化する子育て家庭への支援、地域の実情に合わせた取り組みなどを施策として挙げた。

内閣府「少子化社会に関する国際意識調査」

内閣府は同日、20~40代の結婚や子育てなどへの考え方を国際比較した「少子化社会に関する国際意識調査」(昨年10月~今年1月実施)の結果を公表。現在結婚(同棲)していない人に、コロナ禍で結婚への意識に変化があったかを尋ねたところ、日本では「特に変わらない」が74.2%と最も多いものの、「結婚したいという気持ちが強くなった」人が10.2%と、「弱くなった」(5.1%)より高かった。ドイツとスウェーデンでは「強くなった」が約4分の1と高かった。

一方で子供を持つことに対する意識は、日本では「特に変わらない」が85.9%と大多数で、「強くなった」はわずか3.5%、「弱くなった」が10.0%と上回った。ドイツでは「強くなった」が15.4%と高かった。報告書ではこの結果を男女別に分析し、「日本の女性は強くなったとの回答はほとんどなく、1割が弱くなったと回答していることは懸念される」と述べている。