情報系の学費無償化を 人口減・IoT時代を見据え

「少子高齢化は静かなる有事」と語る野田大臣
「少子高齢化は静かなる有事」と語る野田大臣

総務省は11月17日、第1回目となる「IoT新時代の未来づくり検討委員会」(主査=村井純慶應義塾大学教授)を開催した。「静かなる有事」とも呼ばれる人口減少が本格化する一方、IoTやAI、ロボットなどが当たり前となる将来の日本社会を見据え、ICT人材の育成や情報教育の充実も重要課題に挙がった。委員からは、情報系学生の学費無償化や、情報教育を担う教員の増員などが提案された。

野田聖子総務大臣は「ICTは今後、私たちの想像を超える速度で進化する。20年後の日本ではAIロボットが家族の一員になる一方で、少子化による人口減少、高齢化という『静かなる有事』を迎えるだろう。IoTはこの『静かなる有事』を解決する救世主になり得る」とあいさつした。

情報教育の充実や人材育成に関して、ヤフー㈱社長の宮坂学委員から提案された。同委員は「2040年に向けて~AI・IoT活用による日本再生~」と題する報告の中で、情報技術の爆発的な進化の流れを概観し、データとAIによる第二、第三のデジタル情報革命の波が来ると指摘。その波に備えるには、未来の労働人口である中高生や大学生に対して、プログラミングやデータサイエンス、英語を使いこなす力を身に付けさせる必要があるとした。

具体策として、▽数学や情報の専門性を持った教員を新規採用や中途採用、海外人材の招聘などで増やす▽情報系を学ぶ学生への学費無償化・生活補助▽海外の優秀な人材に日本への留学を働きかける奨学金制度の創設――などを提案。同委員は「世界最強クラスの情報人材の育成環境を整えれば、不確定な未来でもイノベーションを起こすことができる」と強調した。

日本の情報教育に関しては、他の委員からも「貧富の格差が情報へのアクセスのギャップにつながり、子供にとってさまざまな経験をさせる機会の格差になっている」「人材育成も重要だが全体的なリテラシー教育の観点からの議論もしてほしい」「スキルよりも、コンピュータの概念を学校でしっかり教えなければならない。大人への再教育の場も必要だ」などの意見が出された。

同委員会は、同省の情報通信審議会情報通信政策部会に設置された。平成32年以降の人口減少社会を見据え、IoT、AI、ロボットが普及する新時代を展望し、将来起こり得る未来のイメージを作る。そのイメージを基に、日本の歩むべき情報通信政策の方向性を検討するのが目的。来年6月までに最終とりまとめを行い、政府の成長戦略などに反映させる。