高校世界史・日本史の用語半分に 暗記からの転換を提案

高大連携歴史教育研究会(会長=油井大三郎東京女子大学教授)はこのほど、高校の世界史、日本史の教科書や大学入試で扱う用語の精選に向けた第1次案を発表した。現状のおよそ半分に相当する約3500語にまで用語を減らしつつ、歴史的な概念や環境などの新たな用語も取り入れた。従来の暗記中心から、歴史的思考力の育成への転換を提案している。

同案では、教科書本文に掲載し、入試で必須暗記事項として扱う用語として、歴史の基礎概念で192語、世界史用語で1643語、日本史用語で1664語を示した。

精選の基準は、①ほとんど全ての教科書に記載されている用語②現代的課題を考える上で必要な用語や諸概念③資料をもとに考察したり、歴史の大きな転換や時代の基本的な特徴を説明したりする際に必要になる基軸的な用語(概念用語)――とした。

そのため、坂本龍馬やクレオパトラなど、一部の歴史上の人物名が削られるなどしたいっぽう、ジェンダーなどの「テーマ」を指す言葉や、環境や災害に関する用語などが盛り込まれた。

同研究会によれば、1950年代は1300~1600語程度だった世界史の教科書は、2000年代に入ると3400~3800語と、3倍近くも増加。この傾向は日本史も同様で、その背景には、大学入試で教科書に載っていない細かな事実が出題されると、その事項が教科書改訂の際に追加されるというサイクルを繰り返してきたためだという。

その結果、高校の歴史の授業では、膨大な用語の説明・暗記に終始し、時間数が足りずに現代史まで到達しないまま終わったり、生徒に歴史を学ぶ楽しさを実感させるような授業を行う余裕が失われてきた。

さらに、同研究会は従来の用語の暗記の問題点として、▽基本的な流れや時代の特色と、その具体例などの階層分けが明示されず、平面的、羅列的に覚えざるを得ない▽従来の用語は人名や事件名などの固有名詞や事実に偏っており、一般概念や方法概念は用語の扱いを受けていないものも多い――と指摘し、このような現状の改善なしには、歴史的な思考力を育成する授業を大幅に増やすのは難しいとした。

同研究会では、同案をきっかけに、用語精選への議論を具体化させたいとし、日本学術会議や日本歴史学協会とも連携しながら、平成30年2月末までにアンケートを実施している。その結果を踏まえ、最終案を作成する方針。

高校の教科書や大学入試で扱う用語の精選をめぐっては、日本学術会議が生物で学ぶ用語数を約500にまで絞り込む重要語リストを公表している。