「着実な主体的学びの実行が重要」 奈須教授が講演

教員らに講演する奈須上智大教授
教員らに講演する奈須上智大教授

日本心理検査協会と日本心理検査振興協会が主催する第25回教育講演会(後援・教育新聞など)が11月11日、東京都文京区の茗渓会館で開かれた。学習指導要領の改訂に携わった奈須正裕上智大学教授は講演で、教科の本質を大切にして授業を一つずつ見つめ直しながら、着実に主体的・対話的で深い学びを実行していくことが重要だとの認識を示した。

同教授は「新学習指導要領における授業づくりと評価」と題して講演を行い、教科の本質を大切にした授業づくりとして、その教科で繰り返し登場する見方や考え方を意識する必要性を主張した。

同教授は「知識は持つためではなく使うためにある。教科で身につけた見方、考え方が現実の場面で自在に使いこなせるようになる。これが学力であり、それが教科を指導する意味だ」と語った。

また、今後1年以上かけて議論される学習評価について、同教授は「私も教育課程部会に参加しているが、今後どうなるか分からない。高大接続改革と連動していくから、1年以上かけて議論するのかもしれない」と述べた。

この日は「発達障害のアセスメントと指導・援助」と題された講演も行われた。登壇した小貫悟明星大学教授は、子供全体のうち4.5%は読み書きが困難な状態にあることに言及。40人学級であれば約2人いる計算になり、小貫教授は「読み書きが苦手な子供は先生たちの目の前にいるはず」と語った。

知能は言語を土台につくられるとされ、読み書きが苦手なままだと子供の成長に影響が出てしまう。言葉を通じて知能を伸ばすためには、語彙を増やす指導の充実が必要だ。しかし、読めないと語彙が増えず、書くこともできないため、失敗を繰り返してしまう。

発達障害の子供がこうした悪循環に陥らないために、文字を読む際につまずかせないようにするのが重要だという。指導する側が読みのつまずきを理解するキーワードとして、小貫教授は▽形を捉える力▽音に変換する力▽意味を捉える力▽イメージを作る力――の4つを挙げた。

読み書きが苦手な子供が文字を読む際、まず文字の形を把握できるかどうかが焦点となる。その文字を音読でき、文中の単語をひとかたまりとして捉えられれば、単語の意味を把握できたことになる。こうして語彙の習得状況を見極められる。

さらに、習得した語と語の関係を正しく理解できれば、文章を把握できたと判断できる。単語を読めれば写真のようなイメージがつくられ、それが連続すると動画のようなイメージで文章を把握できるようになるという。

読み書きが苦手な子供について、小貫教授は「読むという行為によって人生が不利にならないこと、読むことを楽しめる人生を送れるようにするのが大事だ」と語った。