生徒のwell-beingを考察 生活満足度など概して低い

調査結果の知見を報告した
調査結果の知見を報告した

国立教育政策研究所は、2015年の生徒の学習到達度調査(PISA)の結果を踏まえ、OECDがまとめた「Students well-being(生徒の健やかさ、幸福度(仮訳)」の国際結果の概要報告書を、4月19日に公表した。“well-being”という人生全体に関わる総合的な概念を、いくつかの側面から浮き彫りにしようとの意図の下で設問。生活満足度については、日本の高校生は47カ国・地域中で43番目に位置し、概して低かった。ただ、主観的な満足度を尋ねる中で、地域的な偏りが見られると同研究所は指摘している。

調査には、全体として72カ国と地域の生徒約54万人が参加。日本は高校など198校の約6600人が参加した。設問項目によって、回答した国・地域の数は異なる。

それによると、生徒の主観的な生活満足度を尋ねた設問には、47カ国・地域から回答を得た。0から10までの11段階評価で質問し、日本は、十分満足(11段階で9~10に相当)が23.8%、満足(同7~8)が37.3%、まあ満足(5~6)が22.9%、満足していない(0~4)が16.1%だった。11段階評価による平均値は6.8。これは、OECD平均値の7.3と比べて0.5ポイント低かった。47カ国・地域の中では43位に位置していた。

同研究所はこの結果を、「生徒の主観的な満足度を尋ねる中で、東アジアが低く、中南米が高いなどの地域的偏りが見られた。社会文化的要因を考慮してデータを解釈する必要がある。OECDも主観的な満足度は国際比較が困難との立場をとっている」とした。

特に生活満足度が低い10カ国の中には、東アジアの香港、マカオ、台湾、韓国など6カ国・地域が含まれている。

学校への所属感についてでは、「学校でよそ者だと感じる」などの項目で、69カ国・地域から回答を得た。日本の生徒は34番目に位置した。

指標の値からの隔たりから所属感の強弱を表すために、OECDの加盟国指標の平均値が0.0、標準値が1.0になるように標準化。これにより、値が正で大きいほど所属感が強いのを意味するようにした。日本の生徒は負の値を示し、指標の平均値はマイナス0.03だった。OECD平均は正の値で0.02。日本の生徒の所属感は、統計的にみて、有意に低かった。

生徒のテストへの不安やいじめ、学校外でのICT利用などについてもまとめている。

同報告書は、OECDが同年のPISAの結果をwell-beingの観点でまとめた国際報告書がベースになっている。日本に示唆のあるデータの整理と分析が目的。

OECDの定義によると、生徒のwell-beingとは「幸福で充実した人生を送るために必要な、心理的、認知的、社会的、身体的な働き(functioning)と潜在能力(capabilities)」。国際報告書では、生徒のwell-beingを、同定義を踏まえた4つの特徴や背景、直接的要素などで捉えようとしている。それぞれの特徴の中には、多様な側面が存在し、これらの特徴が密接に関連し、その相互作用の結果としてwell-beingの状態があると考えている。