依存症予防の教育を考える 現実生活を豊かにが有効

研究成果と合わせ提言する樋口進院長
研究成果と合わせ提言する樋口進院長

文科省は、青少年の依存症の予防教育を考えるシンポジウムを3月16日、同省で開いた。各地で同教育に携わる専門家が登壇し、喫煙、飲酒、インターネットなどに関する各種依存症の仕組みや予防教育の視点を説明。予防教育事例から、今後の方策を探った。

基調講演では、(独法)国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長が「依存症の仕組みとその予防」について話した。

依存には、アルコールやニコチンなどの物質に係るものと、ギャンブルやゲームなど行動嗜癖に係るものとの、大きく2つがあると解説。どの依存状態でも、脳内には共通したメカニズムが働き、渇望、とらわれ、コントロール障害など、特有の症状が現れるとした。

依存症予防教育の在り方では、依存へのリスク要因となる「環境」「依存物質使用時期」「家庭環境」などを考慮し、児童生徒への幅広い教育と啓発を挙げる。依存症のリスクが高まっている子供たちに焦点化した教育の必要性も示した。

ネットゲーム依存予防教育での、有効性が高い視点としては、「ネットの使用開始年齢を遅らせる」「ネットの使用時間を少なくする」「両親のネット利用に配慮」「リアルな生活の中での対人関係や自己実現などを豊かに」と述べた。

これらは、ネットゲーム依存者などへの長期追跡調査から見いだした視点。調査を通じて、依存状態に陥った危険要因と依存を防御する要因のそれぞれを明らかにし、教育のための有効な要素を示したとする。

現状では、有効な予防教育を導き出すための調査研究とエビデンスが不足している点を課題視する。特に、早期から行う予防教育の効果と意義を検証し、より良い教育の開発と普及を図る必要があると強調した。

教育を個人や家庭だけに委ねるのではなく、学校や地域ぐるみで進める必要性も示唆した。