検討会議の委員は17人で構成。これまで4回開かれた。ヒアリングが中心で、意見が整理されつつある。来夏ごろまでに中間まとめが出される。自分としては、5月の大型連休明けをめどとしている。
教科書のデジタル化については、採択の仕組み、定価、発行部数、検定など、にわかには変えられない事柄が多い。国会での法律改正が必要だ。紙の教科書の配布がなくなった場合、教科書会社の体力が弱まる。それでは良質のものが作られなくなる。
著作権については、紙の教科書への掲載なら許諾するが、デジタルはいやだという著作者もいる。外国の作品でも同様の事情がある。検定では、音声や動画はどのようにするのか。表示されているサイトの中身まで検定するのか。難しい問題だ。ただし、拡大教科書や音声など、障害のある子どもにとってはバリアフリーになる。
紙との関係では、全部をデジタルにするのか。検討会議では併用が主流になっている。義務教育の教科書は無償だが、紙だけ無償にするのか。デジタルも全て無償にすると、予算が莫大になる。国としてどうするのか。紙とデジタルの併用に関しては、地方によって使い方が異なるなど、さまざまな課題が山積している。
高校は義務教育ではなく、教科書は有料。受益者負担の高校から話し合うのがいいのではという見解もある。高校ならば、理科はデジタル、社会は紙という選択もありうるが、義務教育では難しい。
デジタル教科書の活用による学力向上の効果については、あるのは確か。年齢にもよる。小1が全てデジタル教科書でいいのか、徐々にニーズが分かってくる。今は併用の時期で、次の段階を考えると、重要な期間といえる。
現状では、紙媒体を検定しているが、デジタルで検定して紙の教科書にする方法もある。デジタル教科書が基本となった場合、子ども全員が端末を持つ必要が出てくる。情報機器の整備は、地域格差が大きい。依然、端末は6・4人に1台が現状で、課題は多い。
(詳細は「教育新聞」紙面に掲載)