【連載】国際バカロレアを知るために 第33回 適したクラスサイズは何人

都留文科大学特任教授 武蔵野大学教育学部特任教授
リンデンホールスクール中高学部校長 大迫弘和

 

IBは、次の6つを指導の方法としています。

(1)based on inquiry(探究を基盤とした指導)(2)focused on conceptual understanding(概念理解に重点をおいた指導)(3)developed in local and global contexts(地域的な文脈とグローバルな文脈において展開される指導)(4)focused on effective teamwork and collaboration(効果的なチームワークと協働を重視する指導(5)differentiated to meet the needs of all learners(全ての学習者のニーズを満たすために差別化した指導)(6)informed by formative and summative assessment(評価=形成的評価と総括的評価=を取り入れた指導)

このような指導を可能にする基礎的な条件としてクラスサイズ、即ち「1クラスの人数」の問題があります。

IBの授業は、25人が適当だと考えられています。7年ほど前、IB日本オフィスがあり、日本代表がいた時期がありました。その方が「25人」という数字が出されたのをはっきりと記憶しています。私自身はIBの規定に25人という数値があるかと思い込んでしまったのです。IB200校プロジェクトがスタートした2013年に、再度IBの方に確認したところ、IBの規定としては「25人」という数字はどこにも書かれていないのがはっきりしました。「25人」という数は、どこにも文章化はされていないが、IBの教育を行うために適正な数、ということになっているのです。

その理由を教員の立場から考えると、IBのプログラムの中で、特に高校2年生、3年生が学ぶディプロマ・プログラムの場合は、頻繁にレポートが課され、頻繁にプレゼンテーションが課される中で、その一つ一つに対して丁寧な指導を行うためには、25人という数が限界だといえます。

しかし、それ以上に重要な問題として、上記のIBの指導方法のうちの(4)を行うためには「25人」という数を考える必要があるのです。

このような指導は例えば40人というクラスサイズでは、有効な指導は難しいといえます。25人から、多くても30人まででなくては、よい結果を生むことはできないでしょう。

現在、準備が進む新しい学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学びをめざす授業改善としてアクティブ・ラーニング」の中の「対話的」の部分は、IBの「効果的なチームワークと協働を重視する指導」と重なり合います。IBのそれが25人というクラスサイズで実施されていることを考えると、新学習指導要領のめざす「アクティブ・ラーニング」が40人クラスの中でうまくいくのかどうか不安を感じます。

「アクティブ・ラーニング」についてすでに先行的に実施している国内の学校や先生があるようですが、いずれも既に困難にぶつかっているようです。IBが示す「人数」が、困難解決の糸口になるのを望んでいます。