【連載】ミドルリーダーの学校経営 ④ 分散化が満足度に連結

東京大学大学院教育学研究科教授 勝野正章

 

経済協力開発機構の「国際教員指導環境調査」からは、学校の意思決定に積極的に参加する機会を教員に与えることに消極的な日本の校長の姿が浮かび上がってくる。「重要な決定を自分だけで行っている」と答えた校長は94.9%(「強くあてはまる」と「あてはまる」の合計)であり、調査に参加した国・地域の平均34.6%より、著しく高い割合であった。また「現在の学校には問題に対する責任を共有する文化がある」と答えた教員は67.3%と、平均74.5%よりやや少なかった。

「分散型リーダーシップ」が機能している学校の校長は、そうでない校長よりも仕事に対する満足度が高かったことに注目したい。日本の校長の仕事に対する満足感の低さは、この調査結果が2014年6月に公表された時、一般紙でも大きく取り上げられたほど、深刻になっている。「現在の学校での仕事を楽しんでいる」は82.9%(平均96.1%)、「現在の学校での自分の仕事の成果に満足している」は59.8%(平均94.5%)である。その結果といえよう。「もう一度仕事を選べるとしたら、また校長になりたい」は61.2%(平均86.9%)に留まる。

だが、校長がリーダーシップを分散化し、ミドル・リーダーを生かす学校経営を進めることによって、校長自身の仕事に対する満足感の向上が期待できるのを本調査結果は示唆している。いちいち口を挟まずとも、よくまとまった教員集団が主体的・協働的に教育活動に取り組み、子供たちに良い変化が見られれば、仕事を楽しめるのは当然だろう。校長はもっと安心してミドル・リーダーに任せてよいのではないだろうか。

「現在の学校には、相互支援を特徴とする学校文化がある」という校長が95.1%(平均95.2%)であるのに対して、教員は81.6%(平均78.6%)と、いずれも高率であるが、両者の認識には若干の開きがある。校長がこの差に対して敏感になり、それを埋めようと努めることと、ミドル・リーダーを生かす学校経営はほぼ同じことである。