【連載】教育現場の課題をひもとく 特別編 キーワードで読む「次期学習指導要領・審議のまとめ」(8)

監修 教育新聞論説委員会

 

「カリキュラム・マネジメントの確立」 三つの側面を具体的に実現

次期教育課程のキーワードとして、「開かれた教育課程」や「資質・能力の三つの柱」を軸とした教育課程の構造化、アクティブ・ラーニング等が挙げられる。これらと並んで特色となっているのがカリキュラム・マネジメントである。「審議のまとめ」では、「学習指導要領等の改善の方向性」の項目の2番目にカリキュラム・マネジメントの実現が示されている。

カリキュラム・マネジメントの内容は次の3点である。

(1)各教科等の教育内容を相互の関係で捉え、学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で、その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと 
 (2)教育内容の質の向上に向けて、子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること 
 (3)教育内容と、教育活動に必要な人的・物的資源等を、地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること

「審議のまとめ」では、これまでは(2)のPDCAサイクルが重視されてきたが、今回は、教育課程全体を通して児童生徒に必要な資質・能力を育てるため、三つの側面を改めて示している。特に強調されているのは、(2)のカリキュラム・マネジメントを通じて、「各教科等の内容と教育課程全体を往還させる」部分である。各学校では、PDCAサイクルの確立に加えて、この部分の具体化が実践課題となる。

翻ってカリキュラム・マネジメントの必要が指摘され、取り組みが開始されたのは、平成10年代に入ってからである。平成10・11年改訂学習指導要領では、総則に「創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する」ことが明記され、新設された総合的な学習の時間では、各学校独自のカリキュラム開発が問われることとなった。また平成15年の学習指導要領の一部改訂では、「各教科等で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること」が追記された。ここで示された「総合的に働く」には、今回示された(2)のカリキュラム・マネジメントに共通する面がある。

時期をほぼ同じくして、学校評価の制度化と学校評価のガイドラインが示されたことも、カリキュラム・マネジメントの取り組みを促すことになった。一部の教育センターの中には「カリキュラム」と名の付くセンター等が設置され、開発やマネジメントの支援や研修が進められるようになった。
 
次期教育課程では、特に各教科等と教育課程が目指す資質・能力とを「往還」させる具体的な仕組みが課題となる。

第一は、次期学習指導要領で示されるであろう資質・能力の「三つの柱」が各教科等にどのように示され、浸透しているのかを検討し、指導計画に明記していくことである。各教科等の指導計画の作成に当たっては、当該教科等の目標のみならず、教育課程全体が目指す資質・能力との関連を明確にし、具体的な指導場面等についても予め計画するようにしたい。

第二は、総則に示されるとともに、各教科等の目標・内容にも反映される「教科の見方・考え方」を活用することである。この見方・考え方は教科ならではの視点と考察の方法等を示したものであり、授業においてはこれらを「働かせる」ことが求められる。実際の指導に当たっては、他教科の見方・考え方を参照することによって、当該教科等の学習の教育課程上の位置が明確になる。

第三は、これまで教科等横断的な学習において作成してきた全体計画の考え方を各教科等にも適用し、教科等で育てる資質・能力の相互関係を整理することである。道徳教育や総合的な学習の時間における全体計画作成の実績を振り返りながら具体化していくようにしたい。

(担当・工藤文三論説委員)