共栄大学客員教授 中根政美
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【出題】
保護者から、「通知表の評定に納得がいかない」と電話がありました。どのように対応しますか?
対応のポイントと実演例
保護者からの成績(評定)に関する苦情は、進路の問題とも絡み、よくあることです。評価の基本は「客観性」です。基準(規準)を明確にし、保護者にきちんと説明をした上で、共に児童生徒の学力向上を図ろうとする姿勢が求められます。
以下、「実演型」の場面指導を想定して、解説していきます。
まず、「お待たせしました。英語を担当している○○です」などと丁寧に応対します。「英語の成績に納得できません。期末テストは△△点でしたよね」と、保護者役の面接官から発言があれば、「はい。お話は十分に分かりました。評定は、テストの点数だけでなく、提出物、授業中やスピーキングへの参加態度などを総合的に判断しています」と、客観性に基づく評価であることを説明します。
これに対し、「高校受験もあるんですよ。これじゃ困ります」と面接官から反応があれば、「評定については、学校全体で基準(規準)を設けており、記録も残しております。努力する姿勢を評価しておりますので、来学期は必ず向上すると期待しています」「本人をぜひ励ましてください。英語を好きにさせ、本人の学力と意欲を向上させられるよう、私も努力していきます」などと粘り強く対応し、最後はポジティブに終わります。
外せないポイント①=まずは「傾聴」
保護者の中には、難関高校への進学のため、成績や評価に敏感な方がいます。まずは、保護者の主張に耳を傾け、その思いを把握しようとする姿勢が大切です。その上で、「客観的」に成績・評価を出していることを説明し、理解してもらいます。傾聴をせず、いきなり評定の基準を示しても、保護者の理解は得られません。場面指導でも、「傾聴」の姿勢は示したいところです。
外せないポイント②=保護者は「パートナー」
子供の成長と学力向上を願う気持ちは、保護者も教師も同じです。そのために、場面指導の中で子供の努力や意欲を褒める言葉を入れることが重要です。保護者は、「クレーマー」ではなく「パートナー」なのです。
外せないポイント③=客観性
成績は、子供にとっても保護者にとっても、重要な意味を持ちます。それだけに、評価の根拠となる基準(規準)を分かりやすく説明できなければいけません。その上で、自身が授業力を磨き、「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業づくりに取り組む意欲を伝えます。