共栄大学准教授/元埼玉県小学校教諭 小川 拓
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授業に「主体的・対話的で深い学び」を取り入れていくことは、小中高校はもちろん、大学においても求められています。そのため、教員採用試験の模擬授業でも、積極的に取り入れていく必要があります。
受験者と話をすると「主体的・対話的で深い学び=アクティブ・ラーニング」と捉えている人が少なくありません。文科省によると、アクティブ・ラーニングとは「子供が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修」であるとされており、厳密にはイコールではありません。「主体的・対話的で深い学び」の目的は、子供たちが生涯にわたり能動的(アクティブ)に学び続けるようにすることです。
また、「主体的・対話的で深い学び」は、ひとくくりの言葉ではありません。この言葉にある「で」には、どのような意味があるのでしょうか。主体的・対話的な学びを身に付けた上「で」の「で」であると考えると、イメージしやすくなります。
では、「主体的」な学びをどのように模擬授業に取り入れていけばよいのでしょうか。何より大切なのは、子供たちの「課題意識」を高めることです。以下、4つの事柄を意識して、模擬授業の課題設定に取り入れていくとよいでしょう。
①身近な事柄・問題
②自ら設定する課題
③既習事項を生かした課題
④思いや願いを生かした課題
続いて「対話的な学び」ですが、こちらもただ話し合いをすればいいわけではありません。同じく、取り入れたい視点を4つ挙げておきます。
①児童生徒同士の協働
②教職員や地域の人との対話
③過去の書物等(先哲の考え方)との対話
④自己との対話(自力解決を含む)
模擬授業「展開」では、上記4つのうちどれかを意図的に組み込んでいきましょう。「④自己との対話」では、「学習カードやノート」「記録・感想」「自己画像・動画」などが挙げられます。
そして、最後に「深い学び」です。模擬授業で「深い学び」を取り扱うことは少ないかもしれませんが、授業自体は「深い学び」までを見据えて構想していく必要があります。そのための4つの視点を以下に挙げておきます。
①情報の精査・収集
②知識を相互に関連
③課題の追究
④新しい考えの創造
授業や単元を通じ、生涯にわたって大きく発展していくような学びです。「本時の授業」「単元」でどのように深めていくかを思い浮かべながら、模擬授業の流れをつくっていきましょう。