Society5.0時代の教育の在り方を
文科相は今年の4月、中教審に「新しい時代の初等中等教育の在り方について」を諮問した。審議事項は、①新時代に対応した義務教育の在り方②新時代に対応した高等学校教育の在り方③増加する外国人児童生徒等への教育の在り方④これからの時代に応じた教師の在り方や教育環境の整備――の4点となっている。
小学校教科担任制に注目集まる
諮問では、初等中等教育について、国際的にみても高水準の教育が行われているとの現状認識を示した上で、社会の急激な変化とともに顕在化してきた課題を列挙し、Society5.0時代の教育・学校・教師の在り方について、目指すべき方向性を提起している。
具体的な諮問項目として、前述の4つのテーマを挙げている。
Society5.0は仮想空間と現実空間の融合を通じて、経済発展と社会的な課題の解決を目指す未来社会のコンセプトである。
義務教育では、学級担任制を見直し、児童生徒の発達段階に応じて小学校に教科担任制を導入するかどうかを検討する。
合わせて先端技術の活用を踏まえた年間授業時数など、教育課程の在り方も議論する。学級担任制を重視する段階と、教科担任制を重視する段階の、それぞれに適した教職員配置や教員免許制度の検討も打ち出した。
また、特定分野に特異な才能を持つ児童生徒や障害のある児童生徒など、一人一人の能力や適性に応じた指導の在り方もうたった。
高校改革では、普通科をはじめとする学科の改革、定時制・通信制課程の在り方、STEAM教育の推進、地域や高等教育機関との連携などがテーマ。
標準授業時数の取り扱い、働き方改革との折り合いなど
ポイントとなる点を見てみよう。
年間授業時数や標準的な授業時間の在り方の検討を求めている。文科省は今年3月、教育課程編成状況調査の結果を公表し、多くの小中学校が年間標準時数を上回る授業時数を設定していることが、教員の長時間労働の原因の一つとなっていると指摘した。そして、都道府県教委などに見直しを求め通知した。
新学習指導要領では教育内容が実質的に増えており、小学校では年間時数そのものが増加している。標準授業時数の取り扱い方など、働き方改革と新学習指導要領の折り合いをどうつけるかが焦点となろう。
職員配置や教員免許制度の在り方では、小学校「英語」の教科免許など、新たな小学校教員免許の創設などが課題となるだろう。