家庭と連携した生活リズムの改善 必要性を学ばせ朝食の充実を

山形市立東小学校 栄養教諭 小関 真理子

本校は、児童数371人、学級数16学級(特別支援学級4含む)で、今年度創立40周年を迎えている。2018年度に栄養教諭が配置され、今年で4年目になるが、配置された当時の状況は朝食摂取率が低く、食べても主食のみという児童が多かった。体調不良を訴え、保健室に来室する児童の多くが、夜ふかしや朝食を食べてこないなど生活リズムが整っていなかった。

そこで、本校では、19年度に山形市が委託を受けた文科省「つながる食育推進事業」をきっかけに、家庭と連携した生活リズム改善のために、特に朝食の充実を重点に主に次のような取り組みを行った。

具体的な実践
1.家庭科の学びから「朝食作り」の実践力を身に付ける。

家庭科「朝食の役割を知ろう」の実践

家庭科は、「食生活」についてじっくり学べる教科である。5・6年生には、家の人に頼るだけでなく、家庭科の学びを生かして自分の力で朝食を作る力を付けさせたいと考えた。

授業では、担任と栄養教諭が連携し、児童の朝食摂取状況の実態に気付かせながら、朝食の大切さや栄養バランスのよい朝食の必要性を学習した。

また、調理実習では、基本的な知識や技能を習得させ、その学びを、5年生は「みそ汁」、6年生は「朝食のおかず」や「一食分の朝食」作りへ生かす取り組みを行った。

調理実習の様子を見ると、日頃から家で調理を手伝っていると思われる児童は少なく、6年生の「スクランブルエッグ」の実習では、卵を独りで割れずにいる児童が多くいた。また、食べられる部分を多く付けたまま、キャベツの芯を切り落としている児童もいた。そこで、一人一人にアドバイスをし、正しい知識や技能を習得させながら、家庭でも実践できるような後押しをした。そして、5年生には「みそ汁」、6年生には、「朝食」作りの課題を出し、家庭科で学んだことを基に家庭での実践を促した。

すると、5年生は夏休みに「みそ汁」作りに取り組み、自分で選んだ材料(煮干し、カツオ、昆布など)でだしを取りながら、さまざまな具を組み合わせたり、旬の野菜を使ったり、夏休み明けの宿泊学習で作る「豚汁」作りに挑戦したり、斬新なアイデアみそ汁を作ったりした児童もいた。

また、6年生は、夏休みや冬休みなど数回にわたって、朝食作りに挑戦してきたが、実践を重ねる度に技術や意欲が向上し、卵を独りで割ることができなかった児童も次第に腕を上げ、「スクランブルエッグ」→「フレンチトースト」→「チャーハン」まで作れるようになった。

冬休みには、自分で考えた朝食献立を全て自分独りで作り上げてきた児童も多くいた。朝食作りができるようになってきたこともあってか、朝食の内容にも変化が見られ、6年生は「主食のみ」の児童の数は昨年から比べて5分の1(15人→3人)に減少した。

児童の振り返りには、「自分が作った朝食を、家族のみんなが喜んで食べてくれてうれしかった」「家族が笑顔で食べてくれてうれしかった」という内容や、作り手の苦労を実感したからか「毎朝起きて作ってくれてありがとう」といった感謝の気持ちが記されていた。

また、保護者らからは、「おいしかった」「作ってもらえてうれしかった」「がんばったね」「また作ってね」などの言葉が多く記されていた。家での朝食作りの取り組みを通して、子供たちの心の中には、「自分の力で作ることができた充実感」よりも「家族とのつながりを実感できた温かい気持ち」や、「自分を必要としてもらえた喜び」が強く残ったようだ。

2.生活リズム改善に向けて「元気いっぱい充電カード」の取り組み

「元気いっぱい充電カード」に記載された資料

生活リズムの改善は、家庭との連携が不可欠である。本校では、毎年、長期休業明けの9月と1月に、それぞれ1週間ずつ、全学年児童を対象に、生活習慣を見直すための「元気いっぱい充電カード」の取り組みを行っている。児童の就寝時間や起床時間、朝食、スクリーンタイムや運動、排便の有無などを記入してもらっている。

朝食については、それまで、「◎主食とおかずを食べた」「〇主食のみ食べた」「△食べなかった」の項目で記入してもらっていたが、19年度からは、新たに「黄の食品[主食](あたまのスイッチ)」「赤の食品[主菜](からだのスイッチ)」「緑の食品[副菜](おなかのスイッチ)」を食べたかどうかを確認するようにした。品数を増やすのが大変なときは、自然に栄養バランスが取れるように汁物に入れる食材を工夫したり、具だくさんのお汁にすることを勧めたりした。

カードの児童と保護者らの感想記入欄には「全色そろってよかった」とか「緑色が足りないと子どもに言われるようになった」など、親子ともども三色(黄・赤・緑)そろった朝食への意識が高まっているのを感じた。

実践の成果

栄養バランスのよい朝食の必要性について児童や保護者の理解が深まり、朝食を毎日食べる児童が増え(18年度=89.3%→20年度=94.1%)、内容も「主食のみ」の朝食から、推奨してきた「汁物」など、おかずを組み合わせて食べる児童が増えた。保健室来室者も少なくなったと養護教諭も驚いていた。これからも家庭と連携し、根気強く取り組みを継続していく。


トップに戻る