【個別最適化された学び(9)】究極の個別最適な学びとは

株式会社SPACE代表取締役CEO 福本 理恵
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前回の記事で紹介した実証事業では、学習者主体のオーナーシップがどんな環境で育まれやすいのかについても検証しました。参加者には動画視聴とオンラインライブという学習スタイルで、学びたいテーマを選んでもらいました。その結果、8割超の参加者が「オンライン探究を継続したい」と希望したのです。

環境省「宝島キッズラーニングプロジェクト」での三宅島での活動の様子。詳細はHPより

さらにアンケートを取ると、動画視聴では、「自己で調整、選択、決定ができて良い」という声が7割を超えました。また、認知特性に合わせた学びが良かったという子どもたちも4割以上に上り、オンラインライブでも同様の傾向が見られました。

これらのことから、オーナーシップを持って学ぶためには、自身で調整や選択、意思決定する機会をつくることがとても重要だと言えます。また、認知特性に配慮すると、より学びやすくなる可能性があります。

子どもたちがオーナーシップを持って学ぶためには、興味関心がどこにあるのか、どんなふうに好奇心を持ちやすいのかを把握することも重要です。今回の実証事業では、人が何か物事を成し遂げるときに使う力をMI(Multiple Intelligence:多重知能モデル)という理論で8領域に分けました。おのおのの興味関心領域を可視化することで、好奇心のスタイルがある特定の領域に収束していくタイプなのか、拡散していくタイプなのかを分かるようにしたのです。

これにより、全教科の学習範囲を満遍なく履修するのではなく、個人の関心や好奇心の赴くままに探究を広げ、深めていくような学びを構築できるようになります。一斉授業では不可能だった学び方も、動画でのオンライン学習やPBLなどの活動から学ぶ手法を取り入れることで、子ども主体に転換できます。今までは成績表が評価の基準になっていましたが、学習のオーナーシップが子どもたちに移り、彼らの探究心から学習を始められるようになれば、評価ではなく「何を、どんなふうに学んできたのか」という学習のポートフォリオが、より実態に沿うものとして重宝されていくでしょう。究極の個別最適化とは、子どもの「学びたい」という意欲・探究心にフォーカスを当て、そこから始まる学びをボトムアップ式につくっていくものです。

特に今注目しているのは、日本中に埋もれている地域のリソースを発掘し、それに興味のある子どもたちが地域を超えて学び合う「宝島ラーニングジャーニー」です。今年度は環境省の「宝島キッズラーニングプロジェクト」で実例を作りましたが、今後も自治体連携の中でオリジナルのプログラムを作りながら、子どもたちが街に出て自分の興味関心に合うものから学ぶという個別最適化も進めていきたいと思っています。


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