【連載】新・探偵がみた学校といじめ 実態を把握するために 第7回 生徒理解の一環としてSNSは必須

NPO法人ユース・ガーディアン代表理事 阿部 泰尚

 

一眼レフのフィルムカメラは私が探偵になったばかりの時、主流の仕事道具であった。調査となれば、使用するレンズやさまざまなシーンに対応できるようにフィルムなどをカバンに詰め込んでいた。

それが今では大きめのボタンをビデオカメラにしてしまうことができる。技術の進化に伴い、カメラの小型化や性能は著しく向上した。だからこそ、私は仕事道具についての研究を日々重ね、必要な知識や技術をできる限り習得した。法の知識が必要となればそれを学び、心理カウンセリングの技術が必要だとなれば、本を読みあさり、研修会などにも参加した。

もちろん私は経営者でありながら現場調査も行っていたから、学ぶ時間を確保することのほうが大変であったが、より品質の高い調査を求めるならば必要不可欠だと考え、時間を確保した。どのような仕事にも完璧な完成形はないように、トップランナーほど学びを続けているはずだ。

いじめの現場にいるとき常に目にするのがLINEやTwitterといったSNSの資料である。この話を教員とするとSNSはわからないと言われることが多く、インターネットすらわからないと言われてしまう場合もある。今やインターネットは当然の環境であり、LINEなどはコミュニケーションインフラだといっても過言ではない。

子供たちはこうしたツールを当たり前に使いこなしているのだし、かなりの率でトラブルが起きる。その対応をしなければならない教員が、それに詳しくないということに少々驚いている。

いじめ問題に当たる上で、特に中高生がどのようにSNSを使うのかを学んだ。教えてくれる人を先生と呼ぶのなら、私には中高生の先生がいることになる。例えば、Twitterでは多くの子が3つ以上のアカウントを作り、それぞれのキャラクターを使い分けているし、LINEのグループは10や20存在するのは少ないほうで、多い子になれば50以上のグループに入っている。ただ、これは今の常識であって時が経てば、この様子も常に変化する。

あるいじめの事案では、その様子を詳細に語るツイートがあり、それはそのいじめを批判的に見ていたが、何もできなかったクラスメートの裏アカウントであることが判明した。私はそれを検索のみで判明させたが、これに必要なことは技術というようなものではなく、正確なインターネット検索と中高生は3つ以上のアカウントを使いこなしているという常識をスタンスとしたのみである。

もしも、この問題が起きた学校がよく生徒を研究し、私と変わらぬ生徒に関する知識があれば、容易にこのツイートを発見できていたはずなのだ。重ねて言えば、生徒とリアルに接することができる学校教員のほうが本来、生徒には詳しいはずである。話しかけることすら通常では許されない立場の私とは、調査という観点でいえば、スタートラインは学校教員が圧倒的に有利なはずなのだ。

それなのに、私が先に見つけ、それによって多くの情報をネット上から得てしまうという事実は、残念ながらこの問題が起きた学校では、生徒理解ができていなかったと評価せざるを得ない。職責として弛まぬ学びに色をつけて、SNSと教材研究への価値観に大きな差を自らつけたことが原因なのではなかろうか。

もしもSNSをしたことがないというのであれば、生徒理解の一環として始めてみてはどうだろうか。始めることによって見える世界もあるはずだ。