【連載】新聞学習とアクティブ・ラーニング 11 対話的で深い学びにつながる

東京都立青山高校主幹教諭 本杉宏志

 

前回の続きで東京都NIE推進協議会のプロジェクトの一つとして実施している、「新聞記事を活用して小・中・高を結ぶ試み」の実践の様子や児童生徒の意見の深まりについて、報告します。

紙幅の関係上、そのものは掲載できませんが、こういうワークシートです。A3判の用紙に、朝日新聞に掲載された「なぜ先生は叱ってくれないの?」という中学生の投書を印刷し、児童生徒が200字程度の意見や感想を書く枠を4カ所、最後に感想を書く枠を2カ所つくりました。

そのワークシートにまず、小学生が意見を書き、それが高校に送られてきます。小学生の意見に対し今度は高校生がコメントします。これを2往復するというシンプルな意見交換です。本校(高校1年生)は文京区立関口台町小学校の6年生と意見を交換しました。

児童生徒の意見がどのように変容したか、簡単にまとめます。

児童Aは最初は記事の考えに大きく共感していました。しかし、高校生からの「先生に言われてから態度を改めたり、行動したりするのではなく、自分たちで注意し合ったり、雰囲気をつくったりと自治ということも大切だよ」という意見を受け、「自分から良い方向に行動することの大切さ」を再確認しました。

児童Bは最初、「何で、叱ってほしいと思ったのかが不思議でした。叱られないだけいいじゃんと思いました」と記事の考えに反対していましたが、高校生の「人を叱るっていうのは、最大の愛情表現なんだよ」という意見を受け「叱られるのは明日の未来へ自分をつなげるということだ」と意見を変えました。

この意見交換を通して、中高生は「小学生に対して、年上の立場から意見を考えることは、新鮮なものであり、意見を書くための原動力になった」とし、小学生は「中高生からの意見で、視野・思考の幅が広がった」と述べています。ある児童は「中学・高校になると教室の様子が変わっていく」と学び、投書した中学生の考えの背景を、中高生から教わって、投書に対する見方を深めていきました。

今回の意見交換を通して、児童はどんなことを学んだのでしょうか。ワークシートから書き出してみます。

「Aさんとの意見交換を通じて、記事のことをより深く考えることができました。Aさんの考えを今後の生活に生かし、よりよいものにしていきたいです」「人によって意見が違うので、自分と違う意見を知ることができて良かったです。これからもよく考えて物事を考えたりしていきたいです」「凄いです。最初の私の意見では想像もできなかった新しい発見がたくさん見つかりました。これからも、Bさんのように広い目線で物事を見られることを目指して、日々頑張ります」と、多くを学んだようです。高校生も「私はあなたとこの取り組みをしたことによって自分でも思いつかないような新鮮な意見を知ることができました。これは私にとても良い影響を与えてくれたと思います」「今回の意見交換では、いろいろな視点から叱るということを考えることができて、とても刺激的だったと思います」というように考えを深めていったようです。

このように児童生徒は、この試みで、相互に新聞記事を活用して、「対話的深い学び」をしたのだと思います。

今後、本実践の目的をもう少し明確化し、どの校種や学年で意見交換するのが良いのかを、さらに検討していきたいと思っています。