【連載】特別支援教育の根本 21 通常の学級の指導①

(学)大出学園支援学校若葉高等学園理事 清野佶成

 

通常学級での特別支援教育について考えたい。特別支援教育が、学校教育法の改正で、すべての学校で実施されるようになり、この4月で丸10年になる。当初は戸惑いと不安が小・中学校等にあった。

平成17年4月に発達障害者支援法が施行され、発達障害を早期に発見し、行政機関のやるべきこと、学校教育支援や就労支援、発達障害者支援センターの設置等を図ることにより、発達障害者の自立および社会参加に資することが目的とした。

改正学校教育法では、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導(通級指導教室)、小・中・高校等の通常の学級で教育支援がなされることになった。そこで大切なのは、発達障害の児童生徒が、障害の状態に応じたいろいろな教育支援を受けられる体制が必要である。

特別支援教育以前には、特別な教育の場で、特別な教育・特殊教育がなされていたが、通常の学級では正式に行われていなかった。

しかし、以前から知的に遅れのない自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等の発達障害の児童生徒が、通常の学級に在籍していることが分かっていた。そこで、発達障害の児童生徒に対する教育支援が喫緊の課題となっていた。

最近、発達障害がテレビや新聞などで報道され、関心が非常に高くなった。だが、いとも簡単に発達障害であるといわれているように感じ、疑念と心配を抱いている。

発達障害支援法において「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低学年において発現するもの」(発達障害者支援法第二条)と定義されている。

発達障害情報・支援センターのホームページにある解説には――、発達障害のこれらのタイプのうち、どれに当たるのか、障害の種類を明確に分けて診断するのは大変難しいとされている。障害ごとの特徴がそれぞれ少しずつ重なり合っている場合も多いからである。また年齢や環境によって目立つ症状が違ってくるので、診断された時期によって診断名が異なる場合もある。

発達障害の特徴については、発達の仕方に生まれつき凸凹がある。人間は、時代背景やその国の文化、社会状況、家庭環境、教育など、多様な外的要因に影響を受けながら、一生かけて発達していく生物である。発達障害のある人も同様。

つまり、年齢とともに成長していく部分もあり、必ずしも不変的な障害とはいい切れない。もちろん個人差はあるが、「障害だから治らない」という先入観は、成長の可能性を狭めてしまう。周囲が彼らの凸凹のある発達の仕方を理解し、サポートすることにより、「障害をもちつつ適応していく」という視点を持つのが重要である。――といった内容の解説が書かれている。

東京都教委が、平成26、27年度に実施した調査では、通常の学級に在籍する発達障害と考えられる幼児・児童・生徒の在籍率は、幼稚園・保育所等で5・1%、小学校で6・1%、中学校で5・0%、高校で2・2%であることが分かった。

いま、通常学級の教育をどうするか、特別支援教育の大きな課題である。ともすると、通常の学級での教育は、学級担任等の教育経験に基づく教育支援によるところが大部分でないだろうか。

医療・福祉・心理等の専門家は、いじめ、不登校等の問題との関連性や、一人ひとりの学習困難、集団参加に困難を持っていると指摘している。

さらに、中学生、高校生になると、自己意識が高まり、通級による指導などの特別な指導支援を受けることが自尊感情を低下させる場合があると懸念されているので、配慮が求められる。