【連載】教育のユニバーサルデザインにチャレンジ 35 授業で育てるソーシャルスキル 6

星槎大学准教授、日本授業UD学会湘南支部顧問 阿部利彦

 

音楽の授業を取り上げたいと思います。体育や音楽は得意・不得意がはっきりしてしまう可能性は高いですが、文化や言葉を超えたコミュニケーションが可能になる、まさにユニバーサルデザイン的な教科といえるでしょう。

高倉弘光先生(筑波大附属小学校)は、「子供ファースト!」の授業を目指しています。そして音楽を「からだ」を軸にした授業づくりとしています。子供にとっての「からだ」とは、「頭で考えること」「心で感じること」「身体そのもの」の総体である、ととらえているのです。

高倉先生の授業は前回紹介した清水由先生(同校)の体育の実践とも通じるところがあるのですが、それは子供のコミュニケーション能力を引き出すということ、子供の思考力、判断力、表現力を育むということ、そして自分の個性や創造性を発揮することにより子供たちの自尊感情を安定的にすること、ではないか、と私は捉えています。

では、音楽でソーシャルスキルを高めるのはどのような場面なのでしょうか。平野次郎先生(同校)は、(1)一人ひとりが表現する場面(2)仲間の表現を聴く、認める場面(3)集団で活動する場面――の3つを挙げています。

(2)では、友達の音楽表現を聴くスキルとして、(a)友だちの動きを見ながら(b)リズムをとりながら(c)楽譜を追いかけながら、聴くという具体的な手法を通じて、友達の表現のよさを実感させることが大事だとしています。

図工・美術におけるUD化の工夫、あるいはSST的指導を行っている先生方もいます。他にも理科、社会、道徳、英語などの授業でもUD化、SST的指導にチャレンジしている学校があります。これからも、そういう素晴らしい実践をしている先生方との出会いが待っており、この紙面で紹介する機会を楽しみにしていましたが、私の連載は今回までとなりました。

全国でUDにチャレンジしている先生方の実践を、またどこかで皆様と共有化したいと思っています。長い間ありがとうございました。(おわり)