【連載】アクティブ・ラーニングとICT活用 10 授業づくりのための学習観である

埼玉県教育委員会アクティブ・ラーニング学習観6則
埼玉県教育委員会アクティブ・ラーニング学習観6則

文教大学教授 今田晃一

小・中学校の学習指導要領改訂案が、2月14日に公表された。そこではアクティブ・ラーニングという用語はなく、「主体的・対話的で深い学び」という記述で統一された。これは学習指導要領の性格上、あいまいな定義ではさまざまな解釈がなされるので、混乱が生じないようにという意図があると考えられる。アクティブ・ラーニングは「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す授業改善の視点として、次期学習指導要領の重要なキーワードであることに変わりはない。

ICT活用がアクティブ・ラーニングを促進するというコンセプトから始まった本連載であるが、埼玉県教育委員会が示したアクティブ・ラーニング学習観6則(埼玉県教育委員会『県教委だより』No.694、平成28年9月21日発行)を紹介し、最終回としてのまとめとしたい(下表)。アクティブ・ラーニングを「AL」と略し、コメントする。

(1)ALは学習観である。ALは特定の型にはめるものではなく、学習者の主体的・協働的な授業づくりを行う際の視点である。

(2)ALは目的ではない。この手法を通して主体的・対話的で深く思考することをねらう。ICTを活用する場合も、本時の目標を実現するための必然性から検討すべきである。

(3)ALは協働的な学びを通じた主体的な学びである。そのために原則的には他者の存在が有意義であり、言語活動の充実、それを促進するICT活用の場面を設定する。

(4)一斉授業は否定しない。全てをALにしてもいけないし、一斉授業の中にもALの要素を取り入れたい。課題や授業場面に応じて、一斉指導とAL、ICT活用を使い分けたい。

(5)これまで日本の学校が大切にし、積み上げてきた教育を否定しない。これまでの主体的な活動を目指すための取り組みを否定しないが、ICT活用からでも今までの取り組みを見直して工夫を加えるという発想を大切にしたい。

(6)ALとは何かの議論、実践、改善を通して、教員がアクティブ・ラーナーを目指したい。子供たちは「教える大人より、学んでいる大人から学ぶ」という学びの原点で臨みたい。

今後、あらゆる知識はネット上にあり、スマホに問い掛けることで正解を得られる社会が実現しつつある。そのとき、教員の役割はどう変わるのであろうか。教育改革実践家の藤原和博は、「情報編集力リテラシーは、先生と生徒が試行錯誤しながら『納得解』を作り出す経験の中で生まれるもの。だからアクティブ・ラーニングの技術を身につけた教員は生き残るだろう」と述べる(『10年度、君に仕事はあるのか?』ダイヤモンド社)。

学習観を、子供たちの生き方にまで昇華させたい。(おわり)