【連載】新聞学習とアクティブ・ラーニング 10 新聞活用し小・中・高を結ぶ

東京都立青山高校主幹教諭 本杉宏志

 

今回は、東京都NIE推進協議会のプロジェクト(先導試行研究)の一つとして実施している「新聞記事を活用して小・中・高を結ぶ試み」についてです。

前々回は「デジタル新聞の活用」についてでしたが、今回はデジタルから離れて、オーソドックスに、紙媒体の新聞を活用したNIEについてです。

NIEの研究会には、当然ながら、いろいろな校種の教員がいます。発達段階に応じた新聞活用の研究をしているわけですが「新聞を活用して小・中・高が交流できるような活用方法」はないだろうかと思い、次にような実践に取り組んでみました。

この実践に取り組んだのは、小(3年生と6年生の担任)・中(2年生の担任)・高(1年生と2年生の担任)の5人で、全員異なる学校に勤務しています。

実践内容は、ある新聞記事を読んで意見を書いたものを、中学校または高校に送る。それを中高生が読み、小学生に対して意見を書くという作業を2往復行うという、きわめてシンプルなもの。目的は、児童生徒が意見交換することにより、互いに意見の変容や考えの深まりがあるかなどを確認してみるというものです。

小学生は、先生からではなく、中高生に自分の意見を読んでもらい、コメントしてもらえるので、何となくワクワクして書くだろうし、中高生は、小学生を意識したコメントを書くので、何らかの工夫をするだろうということで、この記事を通した交流を通して、互いに何らかの発見ができるのを予測した実践です。

小学校などでは、他学年との交流学習をやっている学校もあるようですが、今回は校種のカベを超えてやってみました。もちろん、デジタルの研究を進めてきていたので、インターネット回線などを活用してダイレクトに小学校と高校を結んで意見交換する方がよいのではないかという意見もありましたが、手紙を書いたことがない生徒もいるので、紙ベースでの方が生徒にとってはかえって新鮮なのではないかと思い、この実践に至った次第です。

最初に「小・中・高生が共通して読める記事」の選定から入りました。高校生は問題ないとしても、小学校3年生にも理解できる記事を探さなくてはなりません。各教員で「これは」という記事を持ち寄り検討したのですが、実践に適した記事を見つけるのは、なかなか大変でした。私は、教員が多少解説を加えれば小学生にも理解できるのではないかと考え、「ある大手広告会社の長時間労働による自殺」に関する記事を提案しましたが、保護者がこの会社に勤めている児童生徒がいる可能性があるということで、却下されてしまいました。

熊本震災の記事などはとてもよかったのですが、量が多すぎて小学校3年生には厳しいと、これも駄目でした。

このように、記事の選定は結構難しく、かなりの時間を要しました。小学校3年生から高校生までという学年の範囲に無理があったのかもしれません。結局、在京六紙の中から7月31日(日)の朝日新聞朝刊に掲載された「なぜ先生は叱ってくれないの?」という中学生の投書を活用して、今回の試みを行うことになりました。投書は記者が書いた記事ではないので「記事を活用した試み」といえるのかといった疑問も出されましたが、今回は投書で実践してみようということになったのです。

実践の様子や児童生徒の意見の深まりの様子などは、次回に。