第7回ESD大賞 ユネスコスクール最優秀賞受賞校 宮城県気仙沼市立唐桑小学校

カキ養殖で海洋教育
地元の海の豊かさを知る

1・2年生によるサケの稚魚放流
1・2年生によるサケの稚魚放流

第7回ESD大賞(主催・NPO法人日本持続発展教育推進フォーラム)で、ユネスコスクール最優秀賞を受賞した宮城県気仙沼市立唐桑小学校は、カキ養殖の体験活動を通して、地元の海の豊かさを、実感を伴い、深く学んでいる。

◇ ◇ ◇

1.ねらいと目指す児童像

唐桑小学校では、従前から、地域の漁協青年部と連携して、各種の活動を展開している。昨年度、この取り組みに対して、農林水産祭天皇杯賞を受賞した。
唐桑地域はNPO法人「森は海の恋人」の活動拠点であり、カキ養殖に適した環境である。全校を挙げてカキ養殖を中心とした海洋教育に取り組んでいる。

この体験活動を通して、唐桑の海の豊かさと人との関わりやつながりを実感し、ふるさとが今後も持続可能な社会として発展できるよう探究しながら、実践する力を養うのがねらい。

目指す児童像を「地域の豊かな自然に触れ、様々な人との交流を通し、豊かな心をもち、ふるさと唐桑を愛する子ども」と設定。ESDのテーマを「海に親しみ、人と関わり、海と共に生きる海洋教育の推進」としている。海など自然の恵みを受けて成り立っていることを体験しながら理解し、自然保全のための実践力などを高めていく。

2.取り組みの特色

特色は、(1)カキの養殖体験等の海洋教育が中心(2)教科等との横断的な内容(3)多くの組織・団体と連携(4)プログラムの開発・推進に地域が積極的に関わる――など。

外部連携組織「学校支援委員会」を組織しているのも大きな特色で、学校、PTA、地域住民、県漁協唐桑支所青年部、公民館、海友会(船乗りOB)で構成している。東京大学海洋アライアンス、NPO法人「森は海の恋人」が協力団体。

6年生によるカキの収穫・カキむき体験
6年生によるカキの収穫・カキむき体験

3.昨年度の実践事例

▽1・2年生(生活科)「海に親しもう」=1年生は11月に、サケの飼育活動を行い、次年度2年生になって4月に、稚魚を放流する。昨年度は、1年生と一緒に近くの浜に放流した。

▽3年生「海と関わる栽培活動をしよう」=栽培活動に理科的な視点で取り組み、豊かな土の中には豊かな生き物の世界があるのを理解。海藻肥料を利用した大豆栽培を行い、海水から取り出したにがりを用いて豆腐作りを行うことで、海と陸とのつながりを意識させた。

▽4年生「海の生き物やカキの秘密を探ろう」=磯の生き物やカキの秘密を調べ、カキの養殖を体験。6月には、カキの種はさみを体験。3学期は、カキの解剖、カキいかだの仕組みを理解するためのカキいかだの模型作りなどに取り組んだ。

▽5年生「海と山、自然の関わりを知ろう」=カキの成長や海の生き物、自然環境との関係を中心に学習。7月にカキいかだの周りの海水にいるプランクトンを採取して調べ、豊富なプランクトンがカキのえさになっているのを知った。プランクトンが豊富な海にするためには、栄養分を作り出す森が必要であることを学習した。

▽6年生「豊かな海を発信しよう」=カキの温湯処理見学やカキの水揚げ・カキむき体験、定置網などを体験。6月にカキ砕きを、10月には定置網起こし体験とカキの温湯処理見学をした。11月には、「海洋教育こどもサミットin東北」に6年生が参加し、取り組みを発表した。地域の産業祭り「ごっつぉーフェアー」では、地元の企業の手伝いをしながら、自分たちが学んできたことや唐桑の海の豊かさについてまとめたパンフレットを配布した。カキの収穫・カキむき体験では、漁師から工夫や苦労、唐桑の海で働くことの誇りを感じ取ることができた。

最終的には、海の豊かさの恩恵を受けて人間が生活していることを実感しながら未来へとつなげる。

▽全校集会「今、地球で何が起こっているか」=自分たちが体験してきた活動が、持続可能な社会づくりとどう関係しているか、地球では何が起こっているかを担当の教員から話した。自分たちで、これからどんなことができるのかを考えて行動するきっかけになることを期待している。

4.成果と課題

これまでの成果としては、「地域の自然の豊かさを実感し、環境教育への関心・理解が深まっている」「地場産業としてのカキ養殖の体験を通して、生産者とのふれあい、将来の唐桑や自分の生活に対する関心が高まっている」「ふるさと唐桑への郷土愛や自慢できる地域作りに対する思いが深まっている」などが挙げられる。

今後の課題は「年度が変わっても継続して指導できる体制づくり」「防潮堤工事などの環境の変化に対応するなど、カリキュラムの改善」「問題解決的な学習をさらに推進させ、自ら課題を見付け自力解決していく場面の増加」などがある。